母
結局、腫瘍ではなく血管腫で、おそらく良性という診断をもらい、
夫とひとまずほっとしたね、と乾杯。
その数日後、実家に寄って母に話した。
驚かなくていいからね、と前置きしたけれど、
ものすごく驚いて動揺していた。
結局、大丈夫だったから、と話したのだけど、
その時正直な感想を話した。
「自分が死ぬのは嫌だったけれど、
これで親を看取らなくていいと思ったら
それだけは良かった」
誰かと死に別れるのはつらそう。
自分の心が持たない。
そう思って準備しながらも不安だった。
特に夫の母は88歳。
何があってもおかしくない。
取り乱さないように心を少しずつ鍛えていかなくては、と
プレッシャーにも感じていた。
何の気なしにそのまま感想として伝えたら、母の逆鱗に触れた。
母のそういうところが大嫌いだ。
父と二人きりになってストレスがたまっていたところに
自分のことを娘が看取りたくないと言ったと直結して
傷ついた傷ついたと騒ぎだす。
私にとってちっとも良い母ではなかった癖に
要求だけはどんどんしてくる。
妹まで間に入ってきて
「お姉ちゃんは老人とか弱者に冷たい」
と批判してくる。
みんなまとめていなくなればいいのに。
いつも思う。